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   店主の想い、当店のコンセプ

 当店は“お任せコース”専門の店です。

朝獲れた新鮮な富山湾の素材を中心に毎日コースを組んでおります。

 富山湾の特徴としては、深海物から回遊物、根付物まで、季節ごとに多種多様な水産物を水揚げされております。

深海物は底曳漁・カゴ漁、回遊魚や根付物は定置網や刺し網、釣りなど、各種の漁業も昔から今にいたるまでたゆまなく進化を続けています。

​ 全体的に日本は魚が減っているというニュースはよく聞くようになりましたが、量から質へのシフトも日進月歩で行われています。画期的な締め技術や扱い方の向上により、昔は高級扱いされていなかった魚でも、地元の漁師さんや業者さんが、近海漁業の鮮度という利を活かしながら、正しい血抜きや締め方により、昔とは格段に違う魅力ある食材に進化しているところは料理人として大変興味深いところです。

 料理人として、このような素材供給側の努力を無駄にしないよう、過去の先入観にとらわれた目で魚をみないように努め、その素材の個性を自分なりに解釈し、自分なりに表現し、美しく舞台に上げるのが、これからの富山の料理人の役割だと自負しております。

 しかし、天然物の水揚げですので、天候や潮の流れで漁業の操業率も毎日変わります。朝、仕入れにいかないと、その日何があるかわからないところは、富山で料理をする者にとっては試練でもあります。

せっかく近隣で多種多様な海産物が早朝水揚げされているのだから、私はその鮮度と種類の多さをうまく活かし、都会ではできないコース料理の魅力を日々模索している次第です

 このような意識をもって当店のコンセプトを「地産池消・少量多種」とさせていただいております。

 「寿司で表現すべきものは寿司で、料理で表現すべきものは料理で」 と、多種の素材の個性を活かすため、アプローチにも変化をつけながら3時間から4時間かかるという長いコース構成となっております

こちらとしても、お客様を退屈させないように味やプレゼンテーションに変化をつけながら各素材を表現し、富山湾の素材と共に楽しくゆったりとした一晩を過ごしてもらうのが当店の目指すところです。

 又、地方のサービス業ならではの厳しさといいますか、どうしても少人数の運営となってしまい、その日のコースのメニューも私自身がお客様のご来店ぎりぎりに印刷をするのが現状です。三人がかりで朝仕入れてきた天然素材をすべて捌き、その品質の確認をした後、使い方を決め、時間の許す限り手を止めずに仕込みをしています。今の日本、とくに地方においては、人材の制約がサービス業の新たな宿命となっている印象です。

全国からの集約市場がある都会では、前日にほぼメニューを構成できます。以前は私もそうでした。自然を相手にするここ富山では朝からお客様ご来店までの一発勝負となり、常に時間とメニュー構成の確認に追われます。

しかし、「その日、自然からいただいたものを料理させてもらっている」という感覚は都会では味わえない富山の料理人ならではの醍醐味であり、自然と密着した良い意味での緊張感だと思っています。
  

 SOTO店主:小杉外博                  

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