”季節を愛でる“ ”旬の食材を頂く“ 

長い海外生活を経たことにより、日本という稀な環境と日本人ならではの感性によって築かれた独自の文化の希少性を改めて認識できたように思えます。

ニューヨーク時代は注文すれば世界中から魚を手にいれることができました。しかしそれゆえ“旬”という言葉を使うこともできませんでした。又、ハイマイレージ食材主体の料理界において鮮度とは何か?という疑問も持ち続けていました。

昨今、流通技術の発達により地球規模で良い魚が購買力の高いマーケットに移動する時代となりました。それにより生産地でも長距離輸送が意識されたり、それに向く産物に値が集中するような傾向に変わっていました。いずれ地方の産地は購買力の高い市場の単なる生産地へと移り変わりその土地独自の食文化もなくしていくのでは?と危惧するようになりました。実際に地方では以前当たり前のように一般家庭の食卓に上がっていた旬の食材が流通の拡大によって減り続けています。このような気持ちの変化もあり生まれ育った富山にUターンし新たなテーマにチャレンジをしようと決めました。

 多彩な魚種と季節感あふれる富山湾の天然の恵み、それを近距離漁場で高いレベルの漁業技術と細心のケアで水揚げしてくれる地元漁師さん、そして富山の綺麗な水、美味しい米、このような環境の整った地で料理させてもらえることを”ありがたい”と感じています。

しかし日本に戻ってはみたものの、まだまだ新参者で不慣れなところも多々ありますが、初心をわすれず長距離輸送では味わえない産地ならではの美味しさや、その日にだけ美味しさの閃光を放つフラジールな食材などを味わっていただける店を目指し日々精進していきたいと思います。     

                                  オーナー・シェフ 小杉外博